寿康園における看取り介護の基本理念
施設での看取り介護は、今まで過ごしてきた場所で家族や職員、親しい人々に見守られながら自然な死を迎えることです。
医師の診断のもと、回復不能な状態に陥った時に、利用者様の意思ならびにご家族様の意向を最大限に尊重します。
利用者様の尊厳に十分配慮しながら終末期の介護について心を込めて行います。
看取り体制について
「看取り介護」とは、日常のケアの延長線上にあるものです。
幸せな生活・穏やかな最期を過ごしていただくために、全職員が協力してケアをしていきます。
看取り介護についてのQ&A
- Q1.
- 家族が泊まって付き添うことはできますか?
- A1.
- できます!ベッドや食事、お茶セットも準備させていただきます。
- Q2.
- 夜間はどうなりますか?
- A1.
- 夜勤の介護員が定期的にお部屋へ伺います。何かあれば看護師に連絡し対応し、ご家族様にもすぐ連絡いたします。
- Q3.
- 毎日面会に来られないかもしれませんが…
- A3.
- 大丈夫です!電話でご様子を聞いていただいてもかまいませんし、園の方からも様子をお伝えさせていただきます。
- Q4.
- 今まで「看取り介護」をされた方はどの位おられましたか?
- A4.
- 昨年度は4名、今年度は2名の方がいらっしゃいました。希望しておられても、途中で変更されることも可能です。
- Q5.
- もし亡くなってしまったときはどうなるのでしょう?
- A5.
- すぐに病院へ連絡し、医師より「死亡診断」をしていただきます。その後、こちらでエンゼルケア(※)をさせていただき、お帰りになっていただきます。連絡等、ご相談に応じます。
※エンゼルケア・・・丁寧に心を込めて、お身体をきれいに整容することです。
温かい看取り看護ができました
昨年度は4名の方を看取り介護でお見送りしました。
その中のお一人、A様の看取り介護をお話しさせていただきます。
A様は2月に当園に入所され、体調がなかなか安定せず入退院を繰り返す中で、8月の入院の際には高齢でもあり経口摂取困難の診断がありました。
ご家族様は、病院ではなく寿康園での最期を希望していたため退院に向け調整を行いました。
9月の2週目に退院され、主治医・ご家族様・園の3者で話し合いを行い、主治医からの所見に対して、ご家族様の意向を再確認し「看取り介護」を開始しました。
A様が寂しくないよう、好きだった懐メロのCDを流したり、ご家族様が「食べることは出来なくても何か舐める程度でも味あわせたい」と持参されたアイスクリームを口に含ませたりの対応や、甘いバニラの香りのアロマオイルを焚いたり、みんなでA様にしてあげられることを考え工夫しました。
A様には「看取り介護」となってからも、お風呂に入ったりユニットのみなさんと一緒に過ごしたり、それまでと変わらない生活を送っていただき、A様の家族様も息子さんや娘さんが毎日面会に来てくださり、職員とA様の状態を共有することができました。
徐々にA様の状態にも変化がみられ、ご家族様がお部屋に宿泊されるようになって2日目に、ご家族様やユニットの職員に見守られ安らかに天国へ旅立たれました。
ご家族様からは「病院ではなく、寿康園に帰ってきて良かったです。親身に話を聞いてもらい皆さんに良くしていただき、本当にありがとうございました。」との感謝のお言葉をいただきました。
ご家族様のA様の嗜好を叶えたいという思いと、ご家族様のA様への思いを尊重し、試行錯誤しながらも取り組むことができました。
ご家族様と共にA様を親身に思い、温かい看取り介護だったと思います。
これからも、看取りに関し、利用者様が最期まで安心・安楽に過ごしていただけるよう職員一同精進していきたいと思います。